SINCE 2018

The birth of keycabins

keycabins 誕生物話

From Switzerland

私は大学で政治学の学位を取得した後、投資ブローカーとして仕事をしていました。ところがある日、交通事故にあいました。車にはねられて両足を骨折するという大事故でした。

病院のベッドで寝ているしかなくなると、時が非常にゆっくりと流れているように感じられました。私は不自由な時間の中で、これからの人生や仕事の意義について自然に考えるようになりました。

結局、8ヶ月もの間松葉杖で不自由な生活をしたのですが、そのおかげで自分のやりたいことがはっきりとしてきました。「サステナビリティ」「社会への貢献」「環境に配慮した製品」など、私はこの先、何か社会的に意義のある、創造的な活動をしていきたいと思ったのです。

不思議なものですが、長い療養を終えて2007年にインドを旅行しているとき、デリーのゴミの山のなかに古い車のインナーチューブが積み上げられているのを見て、「これだ!」と思いました。私は「捨てられているものから、役に立つものを作ろう」と思ったのです。その事にこの上ない価値を感じました。これが、最初の「VARGU」というバッグブランドの出発点でした。それからさらに2つのブランドを立ち上げて、インドや中国の工場で生産していました。

最初のブランド「VARGU」

ゴミだった車のインナーチューブを洗浄してみるときれいになり、この素材で何かが作れる可能性を確信。バッグブランド「VARGU」が誕生した。

かねてから、自国のスイスで独自に何かできることはないだろうかと模索していたのですが、2018年にようやく、アップサイクル素材を使ったコンパクトなキーケース「keycabins」を開発することができました。

アップサイクルとは、本来であれば捨てられるはずだった物に、デザインやアイデアといった新たな付加価値を持たせて、別の新たな製品にアップグレードしてリサイクルするということです。地元の廃棄物処理センター、床の施工業者、DJ、スポーツショップと提携して、廃棄されるはずだったスノーボードやスキー板、フローリング材、LPレコードには、keycabinsとしての第2の人生が与えられるようになりました。

また、スノーボードやスキー板は分解がしづらくリサイクルが難しい製品ですが、解体して部品に分離することで、keycabinsの製品を作ることができるだけでなく、残った部品を素材に応じてリサイクルすることができようになります。

わたしのデザインは、サステナビリティ(持続可能性)に向き合うことから生まれます。

開発段階のkeycabins

2018年、初期段階に作られたプロトタイプのキーケース。使い古されたスノーボードを使い、ハンドメイドで作られました。

ヨーロッパでは、地球環境に配慮することが社会に浸透しており、「ものを選ぶ」ときの重要な判断基準になっています。keycabinsを選ぶことは、そのような社会の実現に賛同することでもあります。

今回、日本での販売が決定して、とても嬉しく思っています。日本のみなさんにわたしたちのkeycabinsを手に取って頂きたいと願います。

FORM# 2019 Design Award

スノーボード/スキータイプは、革新的なデザイン性と機能性、製品の持つコンセプトが認められ、「FORM# 2019 Design Award」(ドイツ)を受賞

from Japan

keycabinsジャパンの江村です。
keycabinsに出合ったのは、ドイツの展示会でした。スイスといえば、精密な腕時計やアーミーナイフでよく知られていますね。最初はそんなイメージからkeycabinsに惹かれました。

マルゲリッシュ氏にお話を伺っていると、「これはフローリング材をリサイクルしているんだ」という興味深い言葉が飛び出してきました。リサイクルというと日本では中古品をイメージしますが、フローリングになれなかった新品の廃材をリサイクルしているというのです。木製のkeycabinsを手に取ってみても、元がフローリング材だったようには見えませんでした。

廃棄されるはずだったスキー板やスノーボードから作られたkeycabinsには、さらに魅力を感じました。同じ形なのに、一点一点デザインが異なり、それぞれが個性的で惹きつけられるのです。スキー板やスノーボードの一部を切り出して生まれる図柄には、keycabinsならではのユニークさがあり、しかも、それがサスティナビリティから生まれていることに感動します。

廃棄されるはずだったスノーボードやスキー板から作られた、スノーボード/スキータイプ

ドイツからkeycabinsを持ち帰って、自分の鍵をセットして、初めて自宅のドアを開けたとき、“いつもするはずの音がしない” ことに、意外な心地良さを感じ、心が躍るように嬉しかったことをよく覚えています。そして、「これを日本に紹介したい!」そんな強い想いでクラウドファンディングに挑戦しました。最終的には1,378人の方々から769万円もの応援をいただきました。予想を遥かに超える多くの方々にkeycabinsの魅力を感じていただけたことをとても嬉しく感じました。

Makuakeでクラウドファンディング
目標金額の達成率はなんと7698%で、予想を遥かに超える結果となりました

ぜひ、keycabinsを手に取って、あなたの鍵をつけて使ってみてください。私が感じたジャラジャラしない心地良さや、“捨てられたものから生まれた新たな価値”を、あなたにも感じていただけるのではないかと思います。